カテーテルと弓

血管カテーテルによる造影法や治療法の教科書を見ると手技のやり方、注意点、合併症は書かれていますが、カテーテルそのものの操作法を掘り下げて書いた教科書は見当たりません。(私が知らないだけであるのかもしれませんが。)

実際カテーテルは基本的に“押す”“引く”“時計回りに回す”“反時計回りに回す”の4つしかなく、この組み合わせ(たとえば時計回りに回しながら引く)から成っています。
とても単純ですね。

でも血管は必ずしもまっすぐでなく、血管壁がでこぼこのこともあるし血管そのものが弾力性がある場合もあるし、弾力性がなく硬いこともあります。
UAEをしていると女性は45歳を過ぎたあたりから血管に屈曲や蛇行が多くなることに気がつきます。

ところでヴァイオリニストのヤッシャ・ハイフェッツはこう言っています。

「フロッグで弓を返す時、弓が腕の延長であり、手首の一部であるという感じを持たねばならない。」(私の演奏法 名演奏家と指導者へのインタヴュー第1巻:サミュエル・アプルバウム、セーダ・アプルバウム著/野田 彰 訳)

ハイフェッツ自身カテーテルを持ったことはないと思いますが、“弓”を“カテーテル”に置き換えることができると思います。もちろんフロッグで弓を返す時だけではなく、カテーテルを持っている時はいつでもですが。

案外、医学とは関係のないところでカテーテル操作法を掘り下げた教科書があったようです。

もちろん私の運弓はハイフェッツの運弓にははるかに及ばないことを付け加えておきます。