子宮腺筋症に対するUAE(5)

5月に行われる第39回日本IVR学会総会に演題を応募したところ採択されましたので、抄録を載せておきます。

日本医学放射線学会での演題も子宮腺筋症に対するUAEですが、子宮腺筋症は子宮筋腫を合併することが多く、合併した筋腫への効果も成績に反映してしまうのではないかという疑問から、今回は純粋に子宮腺筋症だけを対象とした治療成績を検討しました。

   子宮腺筋症に対するポンピング法ゼラチンスポンジ使用によるUAE

【目的】ポンピング法にて作成したゼラチンスポンジを塞栓物質とした子宮腺筋症に対するUAEの治療効果を検討。

【方法】2003年から2009年まで当院にてUAEが施行された子宮腺筋症82例のうち筋腫合併を除く37症例を対象。塞栓物質は充分にポンピングしたGelfoamのみ。塞栓の程度はDSA上子宮動脈水平枝が描出されなくなるまでとした。UAE施行時の年齢は29-52歳(平均42.9歳)、経過観察1-71ヶ月(平均20.8ヶ月)。UAE前後のMRI画像、臨床症状、FSH、CA125を検討。

【成績】両側子宮動脈塞栓36例、両側および右卵巣動脈付加塞栓1例であった。全例でUAE後48時間以内の退院が可能であった。UAE後1ヶ月の造影MRIにて腺筋症病変の梗塞領域を検討したところ、完全梗塞23例(62.2%)、50-99%梗塞9例(24.3%)、50%未満梗塞5例(13.5%)であった。全例でUAE後から月経痛、過多月経等の臨床症状は改善されたが経過観察中5例で症状再燃が認められ、症状再燃までの期間は3-36ヶ月(平均15.6ヶ月)であった。再治療が4例(ATH:1例、GnRHa:3例)に施行された。UAE後の無月経は6例(一過性:2例、閉経:3例、子宮性:1例)でUAE施行時年齢はいずれも45歳以上であった。CA125の低下は梗塞領域とよく相関した。

【結論】ポンピング法ゼラチンスポンジによるUAEは子宮腺筋症に対して有用で安全な治療法と思われた。

結論から言うと、子宮腺筋症に対するUAEは筋腫合併の場合もそうでない場合も成績はほぼ同等であるということです。それから筋腫に対するUAEの場合よりも塞栓物質をやや細かくし、強めに塞栓しているにもかかわらず、卵巣機能が有意に低下するということはなく、むしろ卵巣機能低下は年齢が大きな要因であるということです。