カテーテルの練習

最近は血管カテーテル練習用の人体模型がお目見えして、初心者も練習できる環境のようです。
昨年あたりの学会にも陳列されていて、実際に操作をしてみたのですが、人間とは感覚がちがっていささかがっかりしました。

さて、そうするとUAEも含めたIVRの訓練も実際の患者さんで行うと言うことになりますが(もちろん初心者のうちは指導医について少しづつ訓練しますし、動物を使用してカテーテルの技術を学ぶこともあります)練習台にされたほうはたまりませんね。でも練習台がまったくなければどんな医療技術も発展しません。

放射線科医はおろか外科医でさえもどうやって練習すれば手術がうまくなるのか、その辺のことはまるで闇でよくわかりません。そこで違った分野からその道の名人の言葉を考えてみることにしました。


「わたしは練習はしない。言葉の一般的な意味では生涯練習したことはない。必要と感じたときだけ練習するんだ。すべては頭の中にあると考えている。あるパッセージがあって、それをどう演奏したいかも自分ではよくわかっている。」

「練習時間が1時間しか与えられていないとしたら、私は50分をスケールに費やす。残りの10分で曲をやるが難しい部分だけやる。これでどんな難曲をも弾いてみせる。」

「上達するためには1日中ヴァイオリンと一緒にいなくてはいけません。寝起きも共にするのです。」

「あらゆることをある程度までは練習するが、それを超えたところから本当の価値が始まる。練習曲を弾いていて疲れたら、それはまさに手が弱いことの証拠であり、そのときがまさに教則本を閉じては“いけない”時なのだ。」

それぞれの言葉にはいろいろなことがらに通じるところがありますね。

上から順に、フリッツ・クライスラー 、ヤッシャ・ハイフェッツ 、ダヴィッド・オイストラフ、 ルッジェーロ・リッチ の言葉です。

子宮動脈の選択的カテーテル挿入は実はそれほどむずかしくありません。 でも時としてとても難しいものがあります。 また卵巣動脈塞栓をしなくてはならないときもあります。こちらもとても難しいときがあります。

難しい症例はギブアップしても手技成功率は90%前後にはなるでしょう。 でも決して100%にはなりません。100%どころか98%にもならないと思います。

上達するためにいつもカテーテルを片隅におく必要はないけれどもガイドワイヤーやカテーテルの動きをいつも頭の中で組み立てていれば、またそういう習慣になれば、あえてガイドワイヤーやカテーテルを取り出して自宅であれこれする必要もなく、何か必要と感じたときにそうすればいいんですね。

そしてガイドワイヤーとカテーテルの動き、性質といった基本的なことに熟知していればどんなに難しいと思われる血管にもカテーテルを入れることができるということなのです。

----ある血管があってどうやってカテーテルを入れればいいか----

前もってMRIで子宮動脈がどう走行しているか判るのです。