子宮腺筋症に対するUAEの治療効果を検証する(3)

腺筋症に対するUAEの治療効果は自分なりにずいぶん検証し、臨床にフィードバックし成績を向上させようと努力してきました。

76例の腺筋症に対する症状コントロール率を梗塞率によらず検証してみました。 次のように定義しました。

1. 月経痛があっても軽くて薬は必要ない、もしくは市販の痛み止めを1-2回飲めば充分程度の場合は症状コントロールされているとみなす。
2. 閉経になった場合、月経が来なくなった時点で経過観察を中止とする。
3. 症状によらず、他の治療(ホルモン療法、手術療法)を受けた場合、その時点で症状コントロールされないと定義する。

なぜ3.があるのかですが、症状の再発はありませんでしたが、MRI画像で完全梗塞でない例があり、前もってホルモン療法を行えば症状コントロール期間が延長するのではと考え、GnRHaを施行した例があるからです。つまりホルモン療法が治療に介入したため、症状再発(本当はしていないが)と辛めに扱ったわけです。

そうすると次のようなグラフになりました。



これが2003年-2009年までの腺筋症に対するUAEの症状コントロール率ということになります。
平均して3年ならば85%以上の患者さんが、5年でも75%程以上の患者さんが再発したとしても痛み止めを飲む程度の再発であって症状がコントロールされるということになります。

子宮腺筋症に対して初めてUAEを行ったのが1999年でした。2003年より系統的に行い始めて7年が経過しています。ということはこれだけの事がわかるまでおよそ10年かかったことになります。またこれだけのことがわかるという仕事の場を葉山ハートセンター関係者が私に与えてくれたということになります。感謝しなくてはいけませんね。