21年以上の長きに行われている子宮動脈塞栓術

Ravina医師、Merland医師も最初にUAEを行ったパリ大学のLariboisiere(ラリボアジエ)病院にはおらず、Bizet clinicに移籍したようです。

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/uog.5676/pdf

2008年8月に米国シカゴにおいてUAEの発表を行っていました。 Bizet(ビゼー)clinicのBizetはカルメンの作曲者でもあるビゼーとおなじ綴りです。

ここではRavina医師らは” UAE後も妊娠可能である。 若干の胎盤異常のリスクがあり、帝王切開が多いのはそのためだろう。今日、UAEは女性の妊よう能には影響しない。”
と言ってます。

子宮筋腫のUAEは1989年にパリ大学のLariboisiere(ラリボアジエ)病院で行われ、1995年にLancetに発表され、現在ではPelage医師らが引継ぎ、21年以上の歴史とともに世界をリードしています。

タイトルをクリックするとBizet(ビゼー)クリニックのサイトに行きます。

現在もRavina医師らがそこで働いているかどうかはわかりません。

でもおしゃれなクリニックですね。

子宮動脈塞栓術:パリの学会

GEST

Global Embolization Symposium and Technology


来る4月27日から30日までフランスのパリにて開催される学会で、特にカテーテル等を用いた塞栓療法に焦点を当てています。

子宮動脈塞栓術はこの学会の中で一大トピックでヨーロッパの状況を把握することができます。

今回のUAEセッションを見ると

UFE practice development

Which fibroid patient are not suitable?

Alternative treatment for UFE

Long-term outcome of UFE: state of evidence

Invisible anastomosis

Treatment of adenomyosis

Management the post-UFE patient

Fertility and UFE



と盛りだくさんで、UAEの適応、長期成績、腺筋症への適応、そして妊よう性が議論されるようです。



子宮筋腫のUAEは1995年にLancetという医学雑誌にパリの婦人科医であるRavina医師がMerland医師らと発表したのが最初です。Ravina医師は婦人科医なのでカテーテル治療はしません。実際にカテーテル治療をしたのは放射線科医のMerland医師でした。

最初の報告からすでに15年以上を経過しており、Ravina医師、Merland医師らの動向が気になって調べてみました。

タイトルをクリックすると学会のプログラムが読めます。

UAE後の妊娠

今年になって以前に私がUAEを行った患者さんが妊娠し出産したとの報告が立て続けに2例ありました。 いずれも自然妊娠でした。

私自身はUAE後も普通に妊娠するのではないかと肌で感じていましたが、確信にはいたっていません。実は最初の10例のUAEのうち2例、3回の妊娠を経験しており(1999年のことです)、以前の病院では39歳、40歳、43歳の出産を経験しているからです。しかも以前の病院の妊娠例はいずれも高齢出産にもかかわらず帝王切開ではなく経膣分娩でした。

妊娠希望者にとってUAEは第一選択にはならないというのは米国の産婦人科がそのような声明を出したからで、理由は出産時に胎盤からの出血や、癒着胎盤のリスクが若干高まるというデータ、および卵巣機能低下の可能性があるという理由からでした。この声明以来、私自身は妊娠希望者に対しては積極的にはUAEを勧めていませんでした。

ところが2010年の9月にこれを覆すような報告がありました。 ポルトガルからの報告でFertility and Sterilityという権威ある婦人科学の医学雑誌に発表されました。

74人の挙児希望者にUAEを行い、44人(59.5%)が妊娠したというのです。(驚き!) 33人が出産し、流産4、人工流産1、死産1とのこと。また、36週での早産2、低体重児5とのことです。出産にいたっていない5人も妊娠継続中。

この報告に関する限り出産時の胎盤からの出血や癒着胎盤は認められないということで、UAEは妊娠希望者には原則行わないという見解が変わる可能があるとUCLAのParker教授はコメントしています。さらにParker教授はUAE後の妊娠にそれほど神経質になることもないともコメントしています。

http://www.fibroidsecondopinion.com/2010/11/pregnancy-after-uterine-fibroid-embolization/