子宮摘出で若年女性の早期閉経リスクは2倍になる

子宮を全摘しても卵巣を残すので閉経(卵巣機能不全)にはならなという説明
はしばしば聞かれますが、そうではないことがわかっています。

子宮筋腫に関しても、乳製品が筋腫を発生させるなどの“都市伝説”が蔓延
しているのではないでしょうか?

子宮全摘術が若年女性の閉経リスクを2倍近くに上昇させるという科学的
データがありますので、ここに載せたいと思います。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2012/M45060742/


〔米ノースカロライナ州ダーラム〕デューク大学(ダーラム)地域・家庭医学のPatricia G. Moorman准教授らは「子宮摘出術を受けた若年女性では,受けていない女性に比べ早発閉経リスクが2倍近く高くなる」とObstetrics & Gynecology(2011; 118: 1271-1279)に発表した。


手術の便益に潜むリスク

子宮摘出術は,子宮筋腫や機能性子宮出血を含む多くの疾患に対して行われている。米国で子宮摘出術を受ける女性は年間60万人に及ぶが,その長期転帰を検討した研究は少なかった。また,こうした研究のほとんどは小規模であったり,症状のみを基に閉経を分類しているなど限界があった。

そこで,Moorman准教授らは,同大学病院とダーラム地域病院から30~47歳の女性約900例を登録し,ベースライン時および年1回,血液検査と質問票によりデータを収集した。追跡期間は最長で5年間であった。そのうち465例が手術を受けていない健康対照で,406例が子宮摘出術(両側卵巣摘出例は除く)を受けていた。なお,今回の研究では血清中の卵胞刺激ホルモン(FSH)値が40IU/L以上となった場合を早発閉経と見なした。

子宮摘出術で卵巣を温存するのは,健康上の利点のあるホルモン産生を継続させるためである。同准教授は「排卵停止の要因が何であれ,早発閉経は骨粗鬆症や心疾患などのリスクを高める可能性があることは以前から指摘されていた」と説明している。

卵巣温存でもリスクが

今回の研究で,子宮摘出術群では卵巣を温存したにもかかわらず14.8%が4年間の追跡期間中に閉経していたことが判明した。一方,対照群では8%であった。

早発閉経リスクが最も高かったのは子宮とともに片側の卵巣を摘出した例であったが,両側卵巣を温存した例でも高かった。また,子宮摘出術群では,対照群と比べて約2年早く閉経を迎えると推定された。

Moorman准教授は「子宮摘出術後,一部女性で何が卵巣機能停止の引き金となるのかは不明である」とし,「手術により卵巣への血流が損なわれることが早期の卵巣機能停止を招くとする説や,手術自体ではなく術前の基礎疾患が原因であるとする説があるが,今のところ未解明である」と述べている。

また「原因が何であれ,今回の研究は患者とその主治医に潜在的リスクに関する具体的な情報を提供するものだ。子宮筋腫などで子宮摘出術を検討している女性が,早発閉経の可能性を知って他の治療選択肢を探すかもしれないし,治療法が変化する可能性もある」としている。





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