子宮筋腫に対する動脈塞栓術(UAE)が保険適応に

厚生労働省の通知により血管塞栓用ビーズとしてエンボスフィア、ヘパスフィアが薬事承認、保険収載されました。

エンボスフィアは欧米にて子宮筋腫に対する動脈塞栓術(UAE)に広く用いられている塞栓物質です。

その使用については、厚生労働省からの依頼により、日本IVR学会が日本医学放射線学会、日本脈管学会、日本肝臓学会、日本肝癌研究会ならびに日本産婦人科学会(エンボスフィアについてのみ)と協議の上、以下の「適正使用に係る体制等の要件」を提出し、この要件を前提として承認がなされました。


よって、その使用にあたっては、これらの要件を満たすことが前提となります。

 
     「エンボスフィアの適正使用に係る体制等の要件」
 
1)術者要件
① 100例以上の塞栓術の経験(学会あるいは所属部門長の承認を要す)     
② 企業の行う教育コースの受講
2)施設要件
① 動静脈奇形に対する治療は、動静脈奇形の治療に十分な経験を有す医師と連携して治療を行なうことが可能な施設で行なうこと。
② 子宮筋腫に対する治療は、子宮筋腫の治療に十分な経験を有す産婦人科医師と連携して治療を行なうことが可能な施設で行なうこと。
3)子宮筋腫に対する実施要件
① 子宮筋腫塞栓術実施後に、重大な有害事象(肺塞栓による心肺停止、Ashermann症候群,子宮内感染,子宮壊死,無月経,不妊など)が起こることがあるので、事前にこれらの危険性について十分に説明、同意を得たうえで産婦人科医と連携して実施すること。
② 実施後の妊娠において、重篤な合併症(流産、切迫早産、子宮破裂、産後大出血、癒着胎盤など)の報告があるため、実施後に妊娠が判明した場合は、ハイリスク妊娠分娩管理が可能な高次医療機関と連携すること。




事実上子宮筋腫の動脈塞栓術は保険適応になりました。

術者は相応の塞栓療法の経験を有すること、施設にも要件があるということは患者さんにとっても不利益を避ける意味で重要です。カテーテルができるからということだけでUAEを行ってはいけないということです。

UAEの保険適応がゴールではなく、これからがスタートなのです。