妊娠・出産希望者にUAEは適しているのか?

妊娠・出産を希望することを挙児希望といいます。女性であれば多かれ少なかれ希望する時期はあるかあったか、将来あるといえるでしょう。
UAEによって筋腫や腺筋症が小さくなったり、過多月経や月経痛が消失し、妊娠しやすくなればとても喜ばしいことです。
分娩時における大量子宮出血に対してUAEを行った場合、その後妊娠・出産があることは経験的に知られています。
筋腫・腺筋症に対するUAE後の妊娠・出産もめずらしくありません。
ポーランドのある大学病院ではUAE症例が豊富で、その後の出産も多く、UAE学級と呼べるような子供たちがいっぱいいることが学会で報告されています。
ところがアメリカでは産婦人科学会が、挙児希望者にUAEは原則禁忌なる発表をしました。UAE後の妊娠・出産が安全であるというエビデンス(確証)はまだ充分でないという理由からです。
確かにUAE後に妊娠・出産に関して不利と思える状況は起こりえます。以下の3点です

1. 卵巣機能低下
2. 子宮内膜癒着(アッシャーマン症候群)
3. 子宮内膜の部分的欠損

1.は45歳以上の5-10%に起こりえます。2.は数% 3.も数%
2のアッシャーマン症候群が起きると月経は来なくなるかあってもほんとに少量です。妊娠しにくくなります(しないというわけではありません)。3の内膜の部分的欠損は、仮に妊娠した場合、欠損部に癒着胎盤が起こり得、出産時の大量出血をきたす場合があるということです。3が確認されたら内膜が再生されるまで避妊をしなくてはなりません。

私は挙児希望の場合、可能であれば核出術を薦めています。

でも現実はそう簡単でなく、患者さんの中には過去2回の開腹核出術と2回の子宮鏡下核出術、あわせて4回もの手術を経験し再発、さすがにもう手術は嫌だという方もいるのです。

臨床の現場は教科書どおりには行きませんね。