府中恵仁会病院の血管カテーテル室

子宮筋腫・子宮腺筋症に対する治療にはいくつかの方法がありますが、放射線被曝があるのはUAEだけです。 簡単に言えばこれはデメリットになります。

特に卵巣への被曝は問題になることがあります。なぜなら卵巣は放射線感受性が高い臓器で、たくさん被曝すると機能低下してしまうからです。

こう聞くとなにか恐怖心が起きてしまいそうですが、よく理解すれば怖がることはありません。

以前このブログで米国ジョージタウン大学でのUAEの平均卵巣被曝が23cGであると書きました。
cはセンチですからm(ミリ)にすると230mG (Gはグレイ:吸収線量を表す単位)になります。

230mG程度の被曝であれば卵巣機能はもとより、発がん性や、遺伝的な影響は考えなくても良いとされています。

府中恵仁会病院の血管造影装置は被曝線量をリアルタイムに表示するのです。もちろんこの表示された線量は卵巣にかかった被曝線量ではありません。 表示された線量の10-30%程度が卵巣被曝になると考えられています。 

また治療時にはパルス透視といって、ずっと放射線が出ているのでなく、パルス状に断続的に放射線を出す方法をとり被曝軽減を図り、さらに絞りを使用し、卵巣付近には当てないようにしています。

塞栓物質を注入している時は、カテーテル先端だけの透視でもいいので絞りを最大活用し透視部位を極端に狭くします。

9分程度の透視時間でUAEを終えた患者さんがいました。 血管造影装置に表示された被曝線量は180mGでした。その10-30%が卵巣被曝とすれば18mG-54mGということになります。

c(センチ)に直すと1.8cG-5.4cGとなりジョージタウン大学から発表された平均23cGを大幅に下回ることになります。 もっとも患者さんの体格によって線量は変わりますからある程度の誤差はありますが、まず被曝を心配する必要はありません。

いつか症例を蓄積してフラットパネル搭載の最新型血管造影装置によるUAE時の被曝線量に関して学会発表をしようかと考えています。

ちょっと自慢ですが、府中恵仁会病院のカテーテル室はテレビドラマのロケでも使用されるぐらい立派です。もちろん血管造影装置もフラットパネル搭載の最新式です。フラットパネルにより従来の血管造影装置の1/2~1/3の被曝線量で明瞭な画像ができます。

私は恵仁会病院の血管カテーテル室、血管造影装置を一目見ただけで、最高レベルのUAE手技ができると確信しました。(これが赴任することになった理由の一つでもあります。)

もう一つ自慢があります。 UAE手技のスタッフは私以外は全員女性です。 診療放射線技師も女性です。有能な放射線技師は患者さんの卵巣に被曝しないように絞りを最大限に活用してくれます。女性だからこそわかるのかもしれません。

でも被曝が少ないということは術者やスタッフも助かります。(私たちも被曝するのですから。)

タイトルをクリックすると血管カテーテル室を(ちょっとですが)見る事ができます。