子宮動脈塞栓術の大きな利点

子宮動脈塞栓術の利点に、おなかを切らない、子宮が温存される、短期間で社会復帰できる、、などいろいろありますが、最も大きな利点の一つが、癒着を作りにくいということです。
もちろん絶対に作らないとはいえませんが、その頻度はきわめて少ないと考えられます。

開腹手術の場合は必ずといっていいほど腸に癒着ができます。また本来腹腔は空気に触れていませんが、開腹手術をすれば空気に触れます。空気に触れたことがなかった臓器が空気に触れるということは生理的なことではありません。

以前私は腸閉塞(イレウスといいます。)の患者さんの腸の造影をしたことがあります。その患者さんは過去に一度だけ開腹手術をしたことがありました。子宮筋腫のため子宮全摘をした患者さんでした。もっとも当時はUAEどころか腹腔鏡手術も普及していない時代でした。

開腹手術による腸の癒着が原因となりイレウスを起こすことがあるのは医学の常識です。おなかはどうしてもあけなくてはならない場合を除いては極力開けないほうがいいのです。

もちろん子宮動脈塞栓術の後の癒着は0とはいいません。

私は12年間、1850名以上の患者さんにUAEを行ってきましたが、そのあとでイレウスを起こした患者さんはいません。もちろん将来も絶対に起きないという保障はありません。