子宮腺筋症に対する核出術

子宮腺筋症に対するUAEの治療効果については私のHPで述べています。

子宮腺筋症患者さんで挙児希望の場合は核出術を第一選択とするように外来ではお話しています。

それではその核出術に関してはどうなのかを検索してみました。

2010年の日本エンドメトリオーシス会誌がヒットしましたので簡単に解説します。

http://www.endometriosis.gr.jp/non-member/kaishi/kaishi31pdf/endai42.pdf#search='筋腫核出術後%20妊娠'


1例目は41歳 高周波切除器を用いた核出術後4ヶ月ICSI(顕微授精)で妊娠 切迫子宮破裂、胎児位置異常のため帝王切開 1290gの生児を得る 癒着胎盤 出血量2900ml 子宮筋層はきわめて薄くなっていた(0.5mmの部分もあった。)

2例目は42歳 3重フラップ法による核出術後7ヶ月でICSIで妊娠 子宮筋層は5mm程度に菲薄化
帝王切開 2645gの生児を得る 出血量1250ml 癒着胎盤


症例は2例と少ないですが、いずれもハイリスク妊娠・出産で

1. 子宮筋層が薄くなり子宮破裂のリスク
2. 癒着胎盤のリスク
3. 出産は帝王切開
4. 多量の出血

が挙げられます。

さらに人工授精(顕微授精)、高齢出産であったということも関係すると思います。

この論文によると子宮腺筋症核出術後妊娠の子宮破裂率は6%で比較的高いと述べています。
(筋腫核出術の場合は0.24-5.3%)

こういう数字をみると子宮腺筋症のUAE後の妊娠・出産はどうなのかと考えます。
筋腫に対するUAE後の妊娠・出産例は数多くあり、もちろん癒着胎盤、胎児位置異常のリスクはあります。

何よりも腺筋症に関しては核出術とUAEとを比較検討した研究がないのです。

最近筋腫に対するUAE後の妊娠・出産に関する安全性の報告が増えてきました。将来は子宮腺筋症に対するUAE後と核出術後の比較検討に関する論文が出てくると思います。