子宮腺筋症の核出術

腺筋症に対する核出術を検索すると、2度の核出術後に体外受精で妊娠するも、流産、癒着胎盤と多量出血のためUAE(これは止血目的のUAEです。)を行うも出血と感染兆候の増悪、出血コントロール不良のために開腹子宮全摘となった症例が報告されています。

子宮腺筋症核出術2回施行後の妊娠で中期流産となり,癒着胎盤のため子宮摘出に至った一例
http://kanto-sanfujinka.ehost.jp/journal/lfx-journal_detail-id-19198.htm
【背景・目的】子宮腺筋症は35歳以上の女性に多く認められ,結婚年齢の上昇により妊娠に合併する例が増加している.近年,子宮腺筋症に対する保存的治療として手術的に腺筋症病変を切除する方法が報告されているが,手術後の妊娠予後については未だ不明の部分が多い.今回我々は,子宮腺筋症核出術を2回施行後,体外授精で妊娠成立したが,妊娠中期に流産となり,さらに癒着胎盤のため子宮摘出に至った症例を経験したため報告する.

【症例】症例は39歳,2経妊0経産.子宮腺筋症による月経痛,過多月経ひどく33歳時に子宮腺筋症核出術を施行した.その後2回初期流産.35歳時に再発し再度核出術を施行した.その後,両側卵管閉塞のため体外授精を行い妊娠成立し当院初診となった.妊娠16週,腹緊の自覚とともに頸管長の短縮を認めたため,入院とし塩酸リトドリン持続点滴を開始した.18週5日,腹部症状の増悪とともに胎胞脱出を認め,19週1日に死産となった.死産後胎盤が娩出せず,出血量が1500 mLを越えたため輸血開始し,止血目的に子宮動脈塞栓術(UAE)を施行した.UAE施行後,胎盤の自然排出を期待し待機したが,UAE後10日目,出血と感染兆候の増悪を認めたため子宮内容除去術を施行した.しかし胎盤摘出後も出血のコントロールつかなかったため,開腹し子宮全摘出術施行した.子宮・胎盤の病理学的検査にて,癒着胎盤の診断であり,子宮筋層には高度な子宮腺筋症の残存を認めた.

【考察】子宮腺筋症核出術は子宮温存目的に近年施行されるようになってきたが,妊娠予後については不明な部分も多く,今回の症例のように重篤な妊娠合併症を来す可能性があることを念頭に置く必要があると考えられた.



もちろん腺筋症核出術後に無事に出産している例もあると思いますが、こういったこともあるのだと勉強になります。

つまり、外来で腺筋症で挙児希望の場合は、

『妊娠・出産を望んでいるのなら第一選択はUAEよりも核出術だと思うが、その核出術にもリスクがある。実際に核出術を手がけている先生によく話を聞いてください。』

という必要があるということです。

私自身は血管カテーテルによる診断と治療を専門としているので子宮筋腫や腺筋症を手術することはありません。(大昔に手術の助手をした事はありますが、、、。)
ですから自分自身で手術とUAEとの比較を体感できないのです。手術がどのくらい大変なものかということを術者として体感できない。手術した患者さんを自分で責任を持って管理し、その患者さんがたどる経過を身をもって体感できないのです。
(UAEに関してはそれができるのですが、、。)

ですから手術もする、UAEも行うという医師がいれば、それを体感できて、UAEと手術のどちらがいいとか、こういった場合は手術、こういった場合はUAEのほうがいいとより判断できると思います。

手術もするUAEもするという医師はおそらくほとんどいないと思います。

私が知っている限りでは手術を行う産婦人科医でありながら200症例以上のUAEを手がけた医師が一人いるだけです。