UAE近況

先週は8症例のUAEを行いました。新横浜のアモルクリニックでもUAEを施行させていただいていますが、以前アモルクリニックでUAEを受けた方が、このたび出産したとの報告を受けました。通常の妊娠-出産だったとのことです。今週、来週と東京UAEセンターでは4症例が予定されています。外来の状況によってはさらに増えるかもしれません。
現在、年間おおよそ200症例弱のペースでUAEを行っているので来春頃には2000症例を突破すると思いますが、安全を第一に施行して行きたいと思っています。

UAE近況

東京UAEセンターでは先週、今週と立て続けに4症例を行い、半年あまりでUAE症例が50例を超えました。本日は外勤で午前午後あわせて5症例のIVR、1症例の診断カテを行いました。
全てのカテーテル検査・治療をいれるとこの2週間で16症例でした。毎日1度はカテーテルを握る計算になります。この程度行えば指先に感覚がうずくようになります。楽器の演奏でもそうですが、数日手を触れないでいると本調子になるまで時間がかかってしまいます。ゴルフなどのスポーツでも同じでしょう。
今年も残すところあと4週間となりましたが、12月はすでに8名のUAEが予定されています。実を言うとまだまだ余力があります(私にも病院にも)。過去の例を挙げると1施設のみで1ヶ月25名のUAEを行ったことがあります。
外来患者さんから「いつUAEができますか?」と尋ねられることがしばしばあります。「来週」と答えると、「え?そんなに早く?」 とか 「心の準備ができていない。」 といわれることもあります。
どうぞ、心の準備をしてから外来を受診ください。

市民講座

11月13日(土曜)の市民講座はおかげさまで盛況でした。子宮筋腫・子宮腺筋症に対する動脈塞栓術に関してわかりやすく解説したつもりでしたが、なにぶん限られた時間内で行わなくてはならず、至らなかった点もあったことと思います。
かなり専門的な質問もありましたが、なんとか回答したつもりでおります。
特に子宮腺筋症に関しては豊富なデータを持っているのですが、詳しく解説しているととても1時間や2時間では終わりません。
本日は午前中に3症例のUAEを行いました。フラットパネル搭載の最新型血管撮影装置はさずがによく見えます。しかもモニターを見ていても目が疲れない。透視時間はいずれも10分程度で、放射線被曝量は100~200mGでしたので、卵巣被曝は30%としても30~60mG,つまり3~6cGでこれはジョージタウン大学から発表された平均23cGを大幅に下回ります。
以前、当院で循環器科の先生がUAEの助手に入られたことがあったのですが、今日も部屋越しに見学されていました。モニターは血管造影室の外にもありますのでカテーテル操作や塞栓物質注入は見ることができるのです。
その循環器科の先生が腸骨動脈の動脈瘤のコイル塞栓術を行ったときは助手としてお手伝いさせていただきました。こうやって院内においても技術交流を行っていきレベルアップしていきたいと思います。最終的に患者さんの利益につながりますし、病院もレベルアップしていく。
こういった環境つくりにも尽力していきたいと思っています。
市民講座は次回も近日行う予定でいます。

UAE希望者

この5ヶ月間で恵仁会病院で40名以上の患者さんにUAEを行いました。外来受診の時点ですでに筋腫もしくは腺筋症と診断されている方がほとんどです。

実際外来受診患者さんの3-4割がUAE適応になっています。つまり6割の患者さんはUAE適応にしていません。理由は

1.UAEを行うには大きすぎる
2.挙児希望で核出術の方が妊娠・出産に有利
3.あえてUAEを行わなくても投薬等で閉経に持ち込める

等です。

私は腹腔鏡下筋腫核出術、子宮鏡下筋腫核出術、腺筋症核出術の適応があると思われた患者さんには、その手術の上手な先生を紹介しています。もちろん紹介状も書いています。当たり前のことですが。

ところで、現在UAEに保険適応がなく、充分普及していないため患者さんは子宮全摘を薦められてからネット等で検索してUAEを考慮するのが実際だと思います。

将来は、子宮全摘を希望しないからUAEを希望するのではなくて、UAEの適応がないために子宮全摘を考慮するという時代になるかもしれません。

UAE 公開講座のお知らせ

平成22年11月13日(土曜)に公開講座を行います。子宮筋腫、子宮腺筋症の最新治療であるUAEに関してわかりやすく説明します。いかなる質問にも回答いたします。

子宮動脈塞栓術の大きな利点

子宮動脈塞栓術の利点に、おなかを切らない、子宮が温存される、短期間で社会復帰できる、、などいろいろありますが、最も大きな利点の一つが、癒着を作りにくいということです。
もちろん絶対に作らないとはいえませんが、その頻度はきわめて少ないと考えられます。

開腹手術の場合は必ずといっていいほど腸に癒着ができます。また本来腹腔は空気に触れていませんが、開腹手術をすれば空気に触れます。空気に触れたことがなかった臓器が空気に触れるということは生理的なことではありません。

以前私は腸閉塞(イレウスといいます。)の患者さんの腸の造影をしたことがあります。その患者さんは過去に一度だけ開腹手術をしたことがありました。子宮筋腫のため子宮全摘をした患者さんでした。もっとも当時はUAEどころか腹腔鏡手術も普及していない時代でした。

開腹手術による腸の癒着が原因となりイレウスを起こすことがあるのは医学の常識です。おなかはどうしてもあけなくてはならない場合を除いては極力開けないほうがいいのです。

もちろん子宮動脈塞栓術の後の癒着は0とはいいません。

私は12年間、1850名以上の患者さんにUAEを行ってきましたが、そのあとでイレウスを起こした患者さんはいません。もちろん将来も絶対に起きないという保障はありません。

府中恵仁会病院の血管カテーテル室

子宮筋腫・子宮腺筋症に対する治療にはいくつかの方法がありますが、放射線被曝があるのはUAEだけです。 簡単に言えばこれはデメリットになります。

特に卵巣への被曝は問題になることがあります。なぜなら卵巣は放射線感受性が高い臓器で、たくさん被曝すると機能低下してしまうからです。

こう聞くとなにか恐怖心が起きてしまいそうですが、よく理解すれば怖がることはありません。

以前このブログで米国ジョージタウン大学でのUAEの平均卵巣被曝が23cGであると書きました。
cはセンチですからm(ミリ)にすると230mG (Gはグレイ:吸収線量を表す単位)になります。

230mG程度の被曝であれば卵巣機能はもとより、発がん性や、遺伝的な影響は考えなくても良いとされています。

府中恵仁会病院の血管造影装置は被曝線量をリアルタイムに表示するのです。もちろんこの表示された線量は卵巣にかかった被曝線量ではありません。 表示された線量の10-30%程度が卵巣被曝になると考えられています。 

また治療時にはパルス透視といって、ずっと放射線が出ているのでなく、パルス状に断続的に放射線を出す方法をとり被曝軽減を図り、さらに絞りを使用し、卵巣付近には当てないようにしています。

塞栓物質を注入している時は、カテーテル先端だけの透視でもいいので絞りを最大活用し透視部位を極端に狭くします。

9分程度の透視時間でUAEを終えた患者さんがいました。 血管造影装置に表示された被曝線量は180mGでした。その10-30%が卵巣被曝とすれば18mG-54mGということになります。

c(センチ)に直すと1.8cG-5.4cGとなりジョージタウン大学から発表された平均23cGを大幅に下回ることになります。 もっとも患者さんの体格によって線量は変わりますからある程度の誤差はありますが、まず被曝を心配する必要はありません。

いつか症例を蓄積してフラットパネル搭載の最新型血管造影装置によるUAE時の被曝線量に関して学会発表をしようかと考えています。

ちょっと自慢ですが、府中恵仁会病院のカテーテル室はテレビドラマのロケでも使用されるぐらい立派です。もちろん血管造影装置もフラットパネル搭載の最新式です。フラットパネルにより従来の血管造影装置の1/2~1/3の被曝線量で明瞭な画像ができます。

私は恵仁会病院の血管カテーテル室、血管造影装置を一目見ただけで、最高レベルのUAE手技ができると確信しました。(これが赴任することになった理由の一つでもあります。)

もう一つ自慢があります。 UAE手技のスタッフは私以外は全員女性です。 診療放射線技師も女性です。有能な放射線技師は患者さんの卵巣に被曝しないように絞りを最大限に活用してくれます。女性だからこそわかるのかもしれません。

でも被曝が少ないということは術者やスタッフも助かります。(私たちも被曝するのですから。)

タイトルをクリックすると血管カテーテル室を(ちょっとですが)見る事ができます。