エンボスフィアを塞栓物質としたUAEも116例となり、来週は6例、再来週は5例が予定されており10月中に127例に達する見込みです。手技に要する透視時間も10分程度と短くなってきました。 UAEのメリット・デメリットを考慮するとき、放射線被曝がデメリットしてあげられます。手技時間の短縮が放射線被曝の減少に直結するので短時間で手技を終えるということは重要なのですが、パルス透視を使用して放射線を出しっぱなしにしないことも被曝低減に一役買います。今までは7.5F/sで手技を行っていましたが、モニターに映し出される画像が十分すぎるほどよく見えるため5F/sで手技を行ったところ差し障りがありませんでした。そこで3F/sまで落としてみました。さすがに秒間3パルスではカテーテル、ガイドワイヤー操作に困難を感じたのですが、塞栓物質の注入中は問題がありませんでした。大幅に被曝低減が可能になりました。デメリットの一つを極力最小にすることができたのです。被曝が少なくなるということは患者さんだけでなく術者、スタッフ、血管造影室にいるすべての人への被曝低減につながります。それからUAEのデメリットの一つであった「保険がきかず費用が高い」は保険適用となったため「費用が安い」となりメリットになりました。 開腹子宮全摘術、核出術、腹腔鏡下手術のいずれよりも費用が安いのです。
血管カテーテルで子宮筋腫・子宮腺筋症を治療しています。1998年より子宮動脈塞栓術(Uterine Artery Embolization・UAE) に従事し25年目となり、4100症例以上を経験させていただき(202年1月現在)、常に正確で安全な治療を提供すべく努力しています。子宮筋腫・子宮腺筋症の開腹手術を希望されない方は、お早めに受診下さい。UAEに関するあらゆる質問に即答いたします。 UAEは保険適用です。
痛みが少ないエンボスフィア
エンボスフィアを塞栓物質としたUAEは100症例を越え、UAE総症例数は2340例となりました。2014年は9月で100例を突破したのでこのままのペースでいけば本年は130~140例になると見込まれます。例年は100例どまりであったのですがこの症例の伸びはUAEに使用される塞栓物質であるエンボスフィアが保険適応となったことが大きな要因であることは言うまでもありません。ところでエンボスフィアは500-700μのサイズを使用します。筋腫周囲の血管網はperifibroid plexusと呼ばれ平均650μであることが知られています。一方utero-ovarian anastomosis,cervico-vaginal branchの血管径は500μ以下ですので500-700μのサイズを使用すれば理論的には筋腫だけを塞栓することができます。エンボスフィアでのUAEの痛みが少ないのはこのためです。エンボスフィアは時間とともに血流に流されて末梢に移動しますがこの血流が生理的なものでなくカテーテルにより妨げられていればカテーテルを抜いた後、末梢に移動し塞栓不足になります。また時間とともに末梢に移動するのでエンドポイントを決めにくい場合があります。これらは経験はもとより手技、血管造影像、術前術後のMRI画像をよく検討し、結果をフィードバックすることにより解決できます。本年2月にエンボスフィアが保険収載され約半年程度で100症例を経験することができました。この程度経験すると指先に感覚がうずくようになります。エンボスフィアは私にとってもはや未知の塞栓物質ではなくなりました。
UAE症例は2300例に
エンボスフィアでのUAEも60症例となりUAE総症例数は2300例に達したようです。先週は第9回日本IVR学会関東地方会に出席してきました。学会での最大の収穫は演題ではなく企業が展示していた球状塞栓物質の模型でした。実際に使用されるマイクロカテーテルから球状塞栓物質がどのように出てどのように流れるのかを直視できます。もちろん人体の血管とはいささか勝手が違いますが、塞栓方法を体得するのに一役買います。この模型には黒山の人だかり、といいたいところですが私がしばらく独占してしまいました。
第43回日本IVR学会総会(2)
学会2日目は特別企画で私が聴講したかったDr.Piscoの講演がありました。Dr.Piscoは多数のUAE症例だけではなく、前立腺肥大症に対する動脈塞栓術(PAE)も700例以上の経験をお持ちのパイオニアです。特別企画ではUAEではなくPAEについて講演されましたが、自分のセッションが終わると会場を出て行きました。前方席に座っていた私も後を追うようにして、質問しました。
質問内容
1.UAE後の妊娠率が約50%と高いが患者さんを選んでいるのか?
2.PAEでは何種類かの塞栓物質が使用されているが何がいいのか?
の2点でした。
1.に関しては、症状のある筋腫を対象としているだけである。
2.何でもよい(エンボスフィアでもPVAでも、、)
ということでした。私は子宮筋腫に対するUAEは2000例を経験しているが、先生の妊娠率の高さには驚いていると話すと、2000例という数にいささか驚き、私にメールアドレスをくれて、一度ポルトガルにいらっしゃいと言ってくれました。
本当は2200例以上ですが、少なめに言いました。
第43回日本IVR学会総会(1)
6月5日から7日まで奈良で開催された第43回日本IVR学会総会に参加してきました。本年度からいわゆるビーズと呼ばれる非吸収性球状塞栓物質が正式に認可され保険収載となったためビーズに関する話題が多く、実際にUAEに使用される塞栓物質でもあるためビーズの情報を極力得ることが参加目的の一つでした。もう一つはヨーロッパのIVR医で、多数のUAE後の妊娠、出産例を持っておりそれを論文にしているDr.Piscoの講演があり、直接UAEに関する質問をすることでした。
6月5日は学会初日で午前中は内臓動脈瘤のセッションを聴講しました。巨大な脾動脈瘤の症例の他、腎動脈瘤の症例が議論されました。どの分野もそうですが、適応と治療戦略がもっとも大事です。今ではカテーテルやガイドワイヤーが発達していますし、塞栓物質、コイル、ステントもさまざまなものがあるので昔だったらお手上げの症例も血管内治療で治すことができます。戦略によって器具の使い分けが必要になってきますし、治療の限界、合併症、長期効果も知っていなくてはなりません。何より術者の技量が大きく関与します。
ランチョンセミナーではDCビーズを使用した肝細胞癌治療について、ワークショップは産科出血でこれは手技はUAEそのものであり治療対象が筋腫や腺筋症でなく大量出血に対してです。引き続き、一般講演ー「救急」、Dr.GoodwinによるSIRレクチャー Global Interventional Radiology、技術教育セミナー 『門脈圧亢進症』 スポンサードセッション AMPLAZER Vasculaar Plugと聴講しあっという間に夕方6時半になりました。
6月5日は学会初日で午前中は内臓動脈瘤のセッションを聴講しました。巨大な脾動脈瘤の症例の他、腎動脈瘤の症例が議論されました。どの分野もそうですが、適応と治療戦略がもっとも大事です。今ではカテーテルやガイドワイヤーが発達していますし、塞栓物質、コイル、ステントもさまざまなものがあるので昔だったらお手上げの症例も血管内治療で治すことができます。戦略によって器具の使い分けが必要になってきますし、治療の限界、合併症、長期効果も知っていなくてはなりません。何より術者の技量が大きく関与します。
ランチョンセミナーではDCビーズを使用した肝細胞癌治療について、ワークショップは産科出血でこれは手技はUAEそのものであり治療対象が筋腫や腺筋症でなく大量出血に対してです。引き続き、一般講演ー「救急」、Dr.GoodwinによるSIRレクチャー Global Interventional Radiology、技術教育セミナー 『門脈圧亢進症』 スポンサードセッション AMPLAZER Vasculaar Plugと聴講しあっという間に夕方6時半になりました。
エンボスフィアによるUAE後の妊娠
日本では2014年2月からエンボスフィアが子宮筋腫の動脈塞栓術に保険適応となりましたが欧米ではすでに広く用いられていました。ではエンボスフィアによるUAE後の妊娠の状況はどうでしょうか。スペインからの報告がありますので紹介します。
Pregnancy after uterine fibroid embolization: follow-up of 100 patients embolized using tris-acryl gelatin microspheres
Fertility and SterilityVolume 90, Issue 6, Pages 2356–2360, December 2008
100症例のUAE、うち57例が挙児希望。UAE後の妊娠は11症例。つまり19%の妊娠率ということになります。この論文によると40歳未満に限ると妊娠率は50%であり非常に高いということになります。早期流産の割合は27%、帝王切開率は50%。
どういった塞栓の仕方をしているか興味があったのですが、妊娠した10例のうち8例が700-900μのサイズから塞栓していました。通常は500-700μからスタートするのですが、おそらく術者はマイルドな塞栓を考慮してやや大きめのサイズで塞栓したものと思われます。
挙児希望者にUAEは第一選択にはなりませんが、実際の臨床の現場ではそういかないことも少なくありません。 日本での状況はゼラチンスポンジでのUAEに慣れていたわけですが、新たにエンボスフィアという塞栓物質が使用できるわけで術者も選択肢の幅が広がったとpositiveに考えるべきと思います。
ジノ・フランチェスカッテイ
------若いヴィルトゥオーソは、練習している曲にあまりにも早く飽きてしまいがちである。彼らは薄れ行く興味を育て直すことはせず、その曲を弾くたびに、なにかを付け加えたり、楽譜になにか特別の意味を付与しようとすることには関心を示さない、、、常に完璧性を求め、音楽的にも、テクニックの点からもその曲の表現に工夫を加えていくべきである。またたえずフィンガリングの改善を試みていくべきである。大演奏家の多くが、たくさんのレパートリーをもっているわけではないが、彼らは何年にもわたってそのレパートリーについて考え、練習を続けているのである。メンデルスゾーンの協奏曲のように何度も演奏しているものでさえ、演奏するたびに、よりよい演奏をし、さらに優れた仕上げを試み、細部を磨き上げなければならない。----ジノ・フランチェスカッティ------
私はこの言葉が気に入っています。フランチェスカッティは1902年マルセイユ生まれのヴァイオリニストでミルスタイン同様に来日したことのない演奏家の一人ですが、その輝かしい音色、卓越した技巧で20世紀を代表する巨匠です。曲をUAEに当てはめてみましょう。UAEはカテーテルを左右の子宮動脈に選択的に挿入し塞栓物質を流し込むというきわめて単純な手技です。ある程度トレーニングを積めばそれほど困難なくできるようになります。手技のみを考えて見ます。極力フリーフローの状態で塞栓物質を流し込むことが必要とされていますが理論的にはカテーテルを十分に挿入すればするほどフリーフローから遠ざかることになります。事実どんなに愛護的なカテーテル操作を行っても塞栓終了時に子宮動脈本幹にスパスムが起きていることはしばしば経験します。細くしなやかなカテーテルを使用すれば奥まで挿入できて血管への刺激も少ないと考えますが、細くなると塞栓物質が通過しませんし十分な量の造影剤も流し込めませんので良好な造影所見を得にくくなります。またエンボスフィアは500μ以上のサイズを使用しますので少なくともカテーテル内腔は500μ以上なくてはいけません。実際には良好な子宮動脈造影が欠かせません。少なくとも良好な造影所見なしに塞栓物質を注入すべきではないのです。理由は子宮動静脈瘻、子宮動静脈奇形などA-Vシャントがあった場合、塞栓物質がすり抜けて静脈系に入り込み肺塞栓症を起こしえるからです。(A-Vシャントがなくても起こしえる。つまり骨盤内に静脈を圧迫しえる腫瘤を持った人が対象になること、またUAE後は一過性に凝固能が亢進します。子宮動静脈瘻、子宮動静脈奇形は極めてまれな疾患ですが、私は年間100症例はUAEを行っているのです。数をこなせばそういった疾患に遭遇する可能性は高くなります。)。そうすると選択的子宮動脈造影は少なくとも4F程度のカテーテルで良好な造影所見を得たのち、4Fカテーテルはなるべく深く挿入せずすぐにマイクロカテーテルを使用して十分に挿入する。ということになります。しかし、自動注入器を使用し、ハイフロー型マイクロカテーテルを使用すれば造影剤も十分量注入可能ですからこの限りではないことにもなります。一般に塞栓療法の対象は大部分が肝臓癌をはじめとする悪性腫瘍で、2度3度と治療を反復することを前提に行われます。一方UAEは良性腫瘍であり、患者さんも治療する方も極力1回の治療で済ませたいと考えます。長期的にみれば再発、再UAEもありえますが、原則1回で決めたい。1回の手技で筋腫核のすべてを完全に梗塞にする必要かつ十分な塞栓を求めて常に工夫し改善し細部にわたって磨き上げねばならないのです。フランチェスカッティの言葉にまさに共通しています。
私はこの言葉が気に入っています。フランチェスカッティは1902年マルセイユ生まれのヴァイオリニストでミルスタイン同様に来日したことのない演奏家の一人ですが、その輝かしい音色、卓越した技巧で20世紀を代表する巨匠です。曲をUAEに当てはめてみましょう。UAEはカテーテルを左右の子宮動脈に選択的に挿入し塞栓物質を流し込むというきわめて単純な手技です。ある程度トレーニングを積めばそれほど困難なくできるようになります。手技のみを考えて見ます。極力フリーフローの状態で塞栓物質を流し込むことが必要とされていますが理論的にはカテーテルを十分に挿入すればするほどフリーフローから遠ざかることになります。事実どんなに愛護的なカテーテル操作を行っても塞栓終了時に子宮動脈本幹にスパスムが起きていることはしばしば経験します。細くしなやかなカテーテルを使用すれば奥まで挿入できて血管への刺激も少ないと考えますが、細くなると塞栓物質が通過しませんし十分な量の造影剤も流し込めませんので良好な造影所見を得にくくなります。またエンボスフィアは500μ以上のサイズを使用しますので少なくともカテーテル内腔は500μ以上なくてはいけません。実際には良好な子宮動脈造影が欠かせません。少なくとも良好な造影所見なしに塞栓物質を注入すべきではないのです。理由は子宮動静脈瘻、子宮動静脈奇形などA-Vシャントがあった場合、塞栓物質がすり抜けて静脈系に入り込み肺塞栓症を起こしえるからです。(A-Vシャントがなくても起こしえる。つまり骨盤内に静脈を圧迫しえる腫瘤を持った人が対象になること、またUAE後は一過性に凝固能が亢進します。子宮動静脈瘻、子宮動静脈奇形は極めてまれな疾患ですが、私は年間100症例はUAEを行っているのです。数をこなせばそういった疾患に遭遇する可能性は高くなります。)。そうすると選択的子宮動脈造影は少なくとも4F程度のカテーテルで良好な造影所見を得たのち、4Fカテーテルはなるべく深く挿入せずすぐにマイクロカテーテルを使用して十分に挿入する。ということになります。しかし、自動注入器を使用し、ハイフロー型マイクロカテーテルを使用すれば造影剤も十分量注入可能ですからこの限りではないことにもなります。一般に塞栓療法の対象は大部分が肝臓癌をはじめとする悪性腫瘍で、2度3度と治療を反復することを前提に行われます。一方UAEは良性腫瘍であり、患者さんも治療する方も極力1回の治療で済ませたいと考えます。長期的にみれば再発、再UAEもありえますが、原則1回で決めたい。1回の手技で筋腫核のすべてを完全に梗塞にする必要かつ十分な塞栓を求めて常に工夫し改善し細部にわたって磨き上げねばならないのです。フランチェスカッティの言葉にまさに共通しています。
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