子宮動脈塞栓術:パリの学会

GEST

Global Embolization Symposium and Technology


来る4月27日から30日までフランスのパリにて開催される学会で、特にカテーテル等を用いた塞栓療法に焦点を当てています。

子宮動脈塞栓術はこの学会の中で一大トピックでヨーロッパの状況を把握することができます。

今回のUAEセッションを見ると

UFE practice development

Which fibroid patient are not suitable?

Alternative treatment for UFE

Long-term outcome of UFE: state of evidence

Invisible anastomosis

Treatment of adenomyosis

Management the post-UFE patient

Fertility and UFE



と盛りだくさんで、UAEの適応、長期成績、腺筋症への適応、そして妊よう性が議論されるようです。



子宮筋腫のUAEは1995年にLancetという医学雑誌にパリの婦人科医であるRavina医師がMerland医師らと発表したのが最初です。Ravina医師は婦人科医なのでカテーテル治療はしません。実際にカテーテル治療をしたのは放射線科医のMerland医師でした。

最初の報告からすでに15年以上を経過しており、Ravina医師、Merland医師らの動向が気になって調べてみました。

タイトルをクリックすると学会のプログラムが読めます。

UAE後の妊娠

今年になって以前に私がUAEを行った患者さんが妊娠し出産したとの報告が立て続けに2例ありました。 いずれも自然妊娠でした。

私自身はUAE後も普通に妊娠するのではないかと肌で感じていましたが、確信にはいたっていません。実は最初の10例のUAEのうち2例、3回の妊娠を経験しており(1999年のことです)、以前の病院では39歳、40歳、43歳の出産を経験しているからです。しかも以前の病院の妊娠例はいずれも高齢出産にもかかわらず帝王切開ではなく経膣分娩でした。

妊娠希望者にとってUAEは第一選択にはならないというのは米国の産婦人科がそのような声明を出したからで、理由は出産時に胎盤からの出血や、癒着胎盤のリスクが若干高まるというデータ、および卵巣機能低下の可能性があるという理由からでした。この声明以来、私自身は妊娠希望者に対しては積極的にはUAEを勧めていませんでした。

ところが2010年の9月にこれを覆すような報告がありました。 ポルトガルからの報告でFertility and Sterilityという権威ある婦人科学の医学雑誌に発表されました。

74人の挙児希望者にUAEを行い、44人(59.5%)が妊娠したというのです。(驚き!) 33人が出産し、流産4、人工流産1、死産1とのこと。また、36週での早産2、低体重児5とのことです。出産にいたっていない5人も妊娠継続中。

この報告に関する限り出産時の胎盤からの出血や癒着胎盤は認められないということで、UAEは妊娠希望者には原則行わないという見解が変わる可能があるとUCLAのParker教授はコメントしています。さらにParker教授はUAE後の妊娠にそれほど神経質になることもないともコメントしています。

http://www.fibroidsecondopinion.com/2010/11/pregnancy-after-uterine-fibroid-embolization/

2月5日にUAE市民公開講座を行います。

今週は5症例のIVRでした。UAEが3例、腫瘍に対するTACE1例、骨盤の動脈からの出血に対する緊急TAE1例でした。
2月5日(土曜)は恵仁会病院の第二回目のUAE公開講座です。
今回は子宮腺筋症の治療成績にすこし重点をおいて解説したいと思っています。

2011年最初の1週間

2011年は最初の1週間で3症例のIVR(血管内治療)を行いました。

消化管出血に対する血管塞栓術、喀血に対する気管支動脈塞栓術、閉塞性動脈硬化症に対する総腸骨動脈バルーン形成術およびステント留置術です。

いずれも1時間程度の手技時間で終了し、2011年は幸先のよいスタートです。

1月11日よりUAE症例も始まります。今月は内外の施設で14~15症例のUAEが見込まれています。

あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます。

2010年は5月中旬より府中恵仁会病院にて東京UAEセンターの名称をいただき診療に励んでまいりました。おかげさまで約半年間で府中恵仁会病院のみで61症例のUAEを施行することができました。

2011年は1月4日より通常どおり診療を行って参ります。

12年を振り返って

私が子宮筋腫のUAEに着手したのが1998年10月でしたから今は13年目になります。この12年間を振り返ってみたいと思います。
1998年10月の第一例目は6人の医師がチームを組んで行いました。私が一番下っ端でした。1名はフランスでUAEの経験がありました。1名は選択的子宮動脈造影用カテーテルを自ら開発し100例以上の造影経験があり、悪性腫瘍に対する動注塞栓療法の経験がありました。私は子宮動脈に関しては数例の動注塞栓療法の経験しか持ち合わせていませんでした。あとの3名は婦人科医です。当時はUAEが将来どうなるかということに関してはまったく予測ができませんでした。つまりUAEをライフワークにしようとか研究しようなどとは考えていなかったのです。症例に関しても婦人科サイドが決めていました。 多数の筋腫の症例はだめ。大きすぎるのもだめ。 こういったものは手術するのが最適という考えでしたので、筋腫の個数も少なく、大きさも比較的小さいものがほとんどでした。
これがよかったのです。合併症などなくいつしか50-60例目になっていました。もちろん成績もよかった。
今でこそ学会で、どういった症例がUAEに適しているか、どういった症例は適応でないかが論じられていますが、当時はほとんどといっていいほど論じられることはありませんでした。

私にとってUAEの魅力は手技がsimpleであるということです。左右の子宮動脈にカテーテルを入れて塞栓物質を流し込む。これだけのことです。
大動脈内でループを形成し、1本のカテーテルで左右の子宮動脈に挿入する。いかにスピーディに操作を行うかを毎日イメージしていました。寝る前も毎日イメージしていました。
UAE経験が3-4年目になる頃はスピードを考えていました。つまりできるだけ短い透視時間でおこなう。最短何分でできるかを考えていました。そのころは透視時間3分台を連発していました。
3分を破ることは難しいだろうと思っていました。
ある時、ガイドワイヤーがするすると子宮動脈に入りました。そのままカテをかぶせて塞栓。反対側も容易に挿入でき塞栓。2.5分でした。
その後2.2分という時もありましたが2分の壁は絶対に無理だろうと思っていました。
でも毎日イメージしていかに無駄を省くかを自分勝手に考えていました。
私の最短透視時間は1.8分です。2分以内の透視時間でUAEを施行したのは3-4症例あったと思います。
説明をするのはちょっと難しいのですが、当時はきわめて“本能的”にUAEを行っていたように思います。診断学がscienceならば治療はart、特に外科手術はartの要素が大きい。artisticにUAEを行っていました。2分以内の透視時間でUAEが可能とわかった時点で、時間と戦うことはやめました。
artの部分は十分だ。scienceの部分を取り入れようと思ったのです。

UAE近況

先週は8症例のUAEを行いました。新横浜のアモルクリニックでもUAEを施行させていただいていますが、以前アモルクリニックでUAEを受けた方が、このたび出産したとの報告を受けました。通常の妊娠-出産だったとのことです。今週、来週と東京UAEセンターでは4症例が予定されています。外来の状況によってはさらに増えるかもしれません。
現在、年間おおよそ200症例弱のペースでUAEを行っているので来春頃には2000症例を突破すると思いますが、安全を第一に施行して行きたいと思っています。